帰国子女でない人も、社会の在り方を知るために「<帰国子女>という日本人」を読みましょう

つい昨日読み終わった本が一冊あります。

品川亮さん著作の「<帰国子女>という日本人」というエッセー式の本です。40代の著者は、子どもの頃、父親の仕事の都合で二度ペルーに渡り、そこで日本人学校に通って後に日本に帰国し「帰国子女」となったのです。

二度同じペルーの同じ日本人学校に通い、二度帰国しているのですが、一度目の「帰国子女」体験と二度目はとても異なるものでした。

帰国子女は現在では決して珍しい存在ではなく、むしろどの学校のクラスや職場にも一人はいるものではないでしょうか。

わりと当たり前の存在になっている帰国子女ですが、いわゆるアメリカ帰りの典型的な「帰国子女象」に当てはまらない帰国子女である著者は、発展途上国からの帰国子女としての悩みや受ける偏見、戸惑いなどを自分の経験に基づいて書いています。

また、著者以外の多くの帰国子女にも取材をして様々な帰国子女体験をシェアしている本です。

何も帰国子女だからこそ日本の社会に馴染むのが大変なわけではありません。

この本では、帰国子女である上地方から東京に更に転校した「ダブル」マイノリティー的な立場を経験した子どものことも書いています。

また、著者自身が高校生のときに日本の高校に通い始めた際、クラスの中のヒエラルキーの在り方や自分が空気が読めなかったせいでどういう困難や苦しみになったかなども書いていますが、本人もこういった苦しみは決して「帰国子女」独特なものではなく、クラスといった小さな社会の中でどう生徒たちが支配され、上手く生き抜くためにはどういった知恵が必要かなども分析されています。

これは学校の中だけではなく社会全般にも適応できるようなもので、読んでいると実に興味深いです。

著者はペルーに滞在経験がありながらも日本人学校に通っていたため、現地の言葉であるスペイン語、そして「帰国子女」として期待されがちな英語もほとんどできないまま帰国したため、周りの「期待を裏切ってしまうような」帰国子女になってしまった、またアメリカなどの先進国からの帰国子女に対して未だに少しひがみのようなものを抱いている、などと書いています。

正直で主観的な分析もあり、また取材に基づいた自分以外の帰国子女に対する分析も書いてありい、例え読者が帰国子女でなくても興味を持つようなトピックがたくさん詰まっています。

何より、帰国子女から見た日本の社会のことを考えてみることにより、日本の社会の在り方について読者も深く考えさせられます。

社会そのものに興味がある人は是非この本がお勧めです。

Leave a Comment